2023年7月19日水曜日

荒ぶる為替 ドル円相場の傾向と対策

  つい先日、1ドル145円に達して、もうすぐ150円も視野に入ったかと思っていたら、気付いたら138円。僅か2週間で7円の円高、雑な展開ですが、今後も米国の景気動向と日銀に対する思惑で、為替は乱高下しそうな予感がします。

 となった場合、毎月米国株に投資している身としては、無駄だと分かっていても、少しでもお得にドル転したいと考えるのが人の性。いつ、どれだけ上下するのかは分からなくても、それが、相対的に割高なのか割安なのか、せめてそれを考えて、自分で納得して売買したいものです。

 今回は、ドル円と日米の金利、日米のマネーストックの関係について、まとめてみようと思います。

 よく言われるとのは、ドル円は日米の長期国債の利回りの差と相関がある、とされています。ではその関係を見ていきます。

 ドル円は月足の終値、国債利回りは、日本は財務省のHPから、米国はFREDのHPから引っ張ってきました。

 ちなみにドル円の月次の変動率の標準偏差 1σ=3%でした。あわせて、そこから導かれる日次の変動率の標準偏差 1σ=0.7%。年次の変動率の標準偏差 1σ=10.2%。となります。

 このデータをもとに米国債券利回り-日本国債券利回りと為替を比較しますと、、、

 ふむ。R^2は、0.5以上で強い相関があるとされますが、0.3以上ですので弱い相関になります。まあピッタリとはいきませんよね。

 日米金利差とドル円の散布図から、近似式 8.538×日米金利差+88.389 が導かれましたので、実際のドル円の推移と比較しますと、、、

 やはり、上下に乖離してしまいますが、大きな流れは一致しています。月次の乖離率の平均は0.1%です。同じく乖離率の標準偏差は、1σ=37.4%(年次)、1σ=10.8%(月次)、1σ=2.4%(日時)でした。

 金利差とドル円の散布図から見ても分かる通り、2σ=21.6%は見た方が良いでしょうから、近似式 8.538×金利差+88.389 から、21.6%程度、色々な思惑で乖離する。そんな所ですね。


 続いて、日米のマネタリーベースと、ドル円の関係を見ていきます。まずは日米の中央銀行、日銀とFRBの供給した資金供給量マネタリーベースです。

 米国は2008年から、日本は2012年から、すごい勢いで資金供給しています。これが金融緩和ですか。にしてもこのお金は何処に行ったんでしょうね?少なくとも私のお財布の中身はこんな勢いでは増えていません。不思議です。

 この日米のマネタリーベースの比が、理論的には、そのままドル円の為替レートになる。とされています。では、実際のドル円の動きと、マネタリーベースの比の動きを比べてみます。


むむむ、相関があんまり無いような。。。

散布図で見ていきます。

 R^2は0.38,弱い相関があると出ました。でも、2008年からの乖離率が60~80%に達するのを見ると、国債利回りの方が為替レートに直接影響を与えていそうです。やはりマネタリーベース⇒国債利回り⇒為替レートの順番で影響が伝わっていく、そう考えるべきという事なのでしょう。

 じゃあ、今後の見通しですね。FRBは年内、後二回の利上げ行うとアナウンスしていますが、市場はあと一回であることを期待しています。現在の米国10年国債利回りは3.8%、一回の利上げなら4.05%、2回で4.3%と推測されます。対して日銀の方ですが、現在の日本国債利回りが0.5%として、半年後に利上げに転じる状況になっているとは思えませんが、人の話をよく聞くキッシーが、いらぬ口出しをしてしまう可能性も無きにしも非ずで、+0.75%も想定できます。そうした場合、日米金利差を基にした近似式によって、下表の為替レートが予想されます。

1ドル117.6±3.2円となりました。

 現状の実際の為替レートば138.7円で、対して近似式では1ドル116.6円。乖離率は+20%です。乖離は色々な思惑から発生しており、何か大きなイベントでもあれば近似式の値に収束するかもしれませんが、そこは予想不能です。現状維持の場合は、乖離率もそのままで+20%。やや円安是正に動くなら+10%と見込みますと。。。

1ドル141.1±3.2円(乖離率+20%)、もしくは1ドル129.4±3.2円(乖離率+10%)

といった所でしょうか。現在の為替レートも少し先を見据えて動いているという事を考えると、まあ、現在の為替レート138.7円とほぼほぼ一致していて、市場関係者の考える予想と一致しているのかな、と納得した次第です。


 ではでは~

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